奨学金が返せないとき、延滞する前に願い出できる3つの制度|収入基準つき
この記事でわかること
- 制度は3つ。減額返還・返還期限猶予・所得連動返還方式
- いずれも本人が機構に願い出る手続きで、弁護士に頼む話ではない
- 収入基準は公表されている。給与所得者なら400万円と300万円が2本の線
- 延滞してからだと選べる手が減る。順番として先にこちらを見る
奨学金の返還がきついとき、最初に調べるべきなのは債務整理ではありません。日本学生支援機構が用意している、本人が願い出できる3つの制度です。弁護士に依頼しないとできない手続きではなく、公表された数値基準に当てはまるかどうかで決まります。
そして重要なのは順番です。延滞してからでは選べる手が減ります。 きついと感じた時点で見るべき制度なので、線引きの数字だけ先に置いておきます。
3つの制度と、その線
| 制度 | 何が変わるか | 給与所得者の基準 |
|---|---|---|
| 減額返還 | 毎月の額を減らし、そのぶん期間を延ばす。総額は変わらない | 年間収入 400万円以下 |
| 返還期限猶予 | 返還そのものを先送りする。猶予中は利息も付かない | 年間収入 300万円以下 |
| 所得連動返還方式 | 毎月の額が前年の所得に連動して決まる | 第一種で、採用時に選んでいることが前提 |
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減額返還 — 総額は減らない
毎月の返還額を減らし、そのぶん返還期間を延ばす制度です。総額が減るわけではないことは押さえておいてください。月々の資金繰りを立て直すための制度で、借金が軽くなる制度ではありません。
使うにはいくつか前提があります。延滞していないこと、口座振替(リレー口座)に加入していること、月賦返還であること。月賦・半年賦併用などを選んでいる場合は対象になりません。
返還期限猶予 — 止める制度
返還そのものを先送りします。基準は減額返還より厳しく、給与所得者で年間収入300万円以下です。そのかわり、猶予されている間は利息が付きません。
経済困難以外にも、災害・傷病・生活保護受給・失業・在学など、事由ごとに区分があります。自分がどれに当たるかで提出する書類が変わるので、機構の該当ページで確認してください。
所得連動返還方式 — 選べる人が限られる
毎月の返還額が、前年の課税対象所得に応じて決まる方式です。課税対象所得に9%を掛け、子1人につき33万円を差し引いて算出し、その結果が2,000円未満なら月額2,000円になります。
ただし誰でも選べるわけではありません。第一種奨学金で、平成29(2017)年4月以降に採用されていることが前提になります。第二種にはこの方式がありません。
延滞すると、順番が逆になる
減額返還は延滞していると使えません。つまり「払えないから止まっていた」状態では、いちばん軽い手が塞がっています。返還期限猶予は延滞していても願い出できる場合がありますが、まず延滞ぶんの扱いを機構に相談することになります。
延滞が続くと、延滞金の加算、保証人への請求、一括請求、信用情報機関への登録と段階が進みます。どの段階でも早いほど選択肢が多いというだけの話ですが、これが制度全体でいちばん実利のある一文です。
願い出は機構に直接する
3つとも、日本学生支援機構に本人が願い出る手続きです。弁護士・司法書士でなければできない法律事務ではありません。 手数料を取って代行を持ちかけてくる相手がいたら、まず機構の窓口(スカラネット・パーソナルと奨学金返還相談センター)を確認してください。
よくある質問
- Q. 減額返還を使うと、返す総額は減りますか。
- 減りません。毎月の額を減らして期間を延ばす制度です。月々の資金繰りを立て直すためのもので、債務が軽くなる制度ではありません。
- Q. 収入がゼロでも願い出できますか。
- できます。収入基準は上限なので、下回っていること自体が要件です。失業を理由にする場合は経済困難とは別の区分があり、提出する書類が変わります。
- Q. 延滞していても使える制度はありますか。
- 減額返還は延滞していると使えません。返還期限猶予は延滞していても願い出できる場合がありますが、延滞ぶんの扱いを含めて機構に相談する必要があります。
- Q. 第二種でも所得連動返還方式は選べますか。
- 選べません。第一種奨学金で、平成29年4月以降に採用されていることが前提です。
- Q. このサイトの計算ツールは何を出しますか。
- 第一種と第二種を合算した毎月の返還額・完済時期・利息と、片方が先に終わって月々が下がる時期を出します。無料・登録不要で、入力した内容は端末の中だけで処理されます。
この記事の出典
制度は改正されます。手続きをする前に、必ず上記の一次資料または 所管の窓口で最新の内容をご確認ください。