産休・育休のお金は「いくら」より「いつ入るか」でつまずく|無給の谷
この記事でわかること
- 合計額を出すツールは多いが、入金の時期を出すものは少ない
- 給与が止まってから最初の給付までに2〜3か月の空白ができる
- その空白を埋められるのは、一時金と、事前の貯えだけ
- 社会保険料の免除は「入るお金」ではないが、出るお金を止めてくれる
産休・育休のお金について調べると、たいてい総額が出てきます。しかし実際に困るのはそこではありません。給与が止まる月と、最初の給付が入る月がずれていることです。
このずれをここでは「無給の谷」と呼びます。合計額がいくら大きくても、谷の底で家賃と光熱費は普通に引き落とされます。
なぜ谷ができるのか
理由は単純で、給付が後払いだからです。制度ごとに申請のタイミングと審査の期間があり、どれも「働けなかった期間が終わってから」申請する形になっています。
| 給付 | 申請のタイミング | 入金までの目安 |
|---|---|---|
| 出産手当金 | 産後休業が終わってからまとめて申請するのが一般的 | 申請から1〜2か月 |
| 育児休業給付金 | 2か月ごとに申請 | 初回は育休開始からおよそ2〜3か月後 |
| 出産育児一時金 | 直接支払制度なら医療機関へ直接 | 退院時に窓口負担と相殺 |
| 児童手当 | 出生後に市区町村へ申請 | 偶数月に2か月分ずつ |
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谷の間に入るお金は「一時金」
空白期間中に入る可能性があるのは、月々の給付ではなく一度きりの一時金です。出産育児一時金は50万円(産科医療補償制度に加入した医療機関での妊娠22週以降の出産の場合)。直接支払制度を使うと医療機関へ直接支払われるので、出産費用がこれを下回った差額だけが後から手元に来ます。
このほか、こども家庭庁の妊婦のための支援給付(令和7年4月1日施行)があります。ただし一度きりの給付は生活費の代わりにはならないので、谷を埋めた計算にしないほうが安全です。
社会保険料の免除は「出るお金」を止める
見落とされやすいのがここです。産休・育休の期間中は健康保険料と厚生年金保険料が免除されます。入ってくるお金ではありませんが、出ていくお金が止まります。 しかも免除された期間も、将来の年金の計算では保険料を納めた期間として扱われます。
自営業などで国民年金に加入している場合は、産前産後期間の免除に加えて、令和8年10月1日から育児期間の免除が新設されます。会社員向けの制度しか調べていないと見落とすところです。
谷が分かってから、できること
- 谷の月数と金額を先に数える。 対策はここが確定してからでないと立てられません。
- 申請のタイミングを勤務先に確認する。 出産手当金は産後休業終了後にまとめて申請するのが一般的ですが、勤務先や健康保険組合によって扱いが違います。
- 育児休業給付金は初回だけ特に遅い。 2回目以降は2か月ごとのペースになるので、きついのは最初の一度です。
- 児童手当は偶数月払い。 出生月の翌月分からで、所得制限はありません。申請しないと始まらないので、出生届と一緒に手続きします。
よくある質問
- Q. 育児休業給付金は最初にいつ振り込まれますか。
- 2か月ごとの申請なので、初回の入金は育休開始からおよそ2〜3か月後が目安です。勤務先が申請を代行するかどうか、処理の速さによっても前後します。
- Q. 出産手当金と育児休業給付金は同時にもらえますか。
- 対象になる期間が違います。出産手当金は産前産後休業の期間、育児休業給付金は育児休業の期間が対象です。期間が続いているので、切れ目なく順に受け取る形になります。
- Q. 自営業でも育休の給付はありますか。
- 育児休業給付金は雇用保険の制度なので、雇用保険の被保険者でない方は対象外です。ただし出産育児一時金、児童手当、国民年金の産前産後期間の免除、令和8年10月1日から始まる育児期間の免除は対象になり得ます。
- Q. 社会保険料の免除は申請が要りますか。
- 勤務先を通じた手続きが必要です。自動では始まらないので、産休に入る前に勤務先へ確認してください。
- Q. このカレンダーは何を出しますか。
- 出産予定日と加入状態から、出産育児一時金・出産手当金・育児休業給付金・出生後休業支援給付金・社会保険料免除・児童手当などを1本の時間軸に並べ、給与が止まってから最初の給付が入るまでの空白を金額つきで出します。無料・登録不要です。
この記事の出典
制度は改正されます。手続きをする前に、必ず上記の一次資料または 所管の窓口で最新の内容をご確認ください。